薬で改善しない過活動膀胱の方へ

過活動膀胱は、内服薬による治療が中心とされてきました。しかし、薬を続けても症状が十分に改善しない方や副作用で内服を続けにくい方が一定数いらっしゃいます。こうした方への選択肢として広まってきたのが、膀胱ボトックスです。大阪・守口市のこいと腎泌尿器科クリニックでは、2020年から保険適用となったこの治療を日帰りで行っています。
膀胱ボトックスの概要
膀胱ボトックスは、正式には「ボトックス膀胱壁内注入療法」と呼ばれます。ボツリヌス毒素を膀胱の壁に直接注入することで、膀胱の過剰な収縮を抑える治療です。内服薬では十分な改善が得られない難治性の過活動膀胱が適応となります。薬を飲み続ける負担から解放されたい方や、薬の効果が薄れてきた方に、もう一歩進んだ治療として提案しています。
治療の仕組み
ボツリヌス毒素には、筋肉の収縮を抑える働きがあります。過活動膀胱では、膀胱の筋肉が意思とは関係なく過剰に収縮することで、強い尿意や頻尿が起こります。ボツリヌス毒素を膀胱の壁に注入すると、この過剰な収縮が抑えられて、症状の改善が期待できます。
治療では膀胱内視鏡を尿道から挿入して、極細の注射針で膀胱の壁の複数箇所にボトックスを注入します。効果の現れ方には個人差がありますが、術後数日から2週間程度で症状の変化を実感する方が多いです。
一般的なイメージとの違い
ボトックスは美容医療で使われるイメージが強いですが、実際には幅広い医療分野で活用されており、眼瞼けいれん、片側顔面けいれん、痙性斜頸、脳卒中後の上下肢痙縮、多汗症など、保険適用となっている領域が複数あります。膀胱への注入もこの一つで、安全性と有効性が確認された治療です。
保険適用となった背景
過活動膀胱の治療では、抗コリン薬やベータ3作動薬といった内服薬が標準的に用いられてきました。しかし、これらの薬では十分な効果が得られない方や、口の渇き、便秘などの副作用で継続が難しい方が一定数いらっしゃいます。こうした難治性の過活動膀胱に対する選択肢として、膀胱ボトックスは海外で先行して導入されました。日本では2020年(令和2年)に保険適用となり、より受けていただきやすい治療になりました。
治療のメリットとデメリット
メリット
膀胱ボトックスには、主に以下のメリットがあります。
- 治療時間は30分程度で、入院の必要がない
- 薬を毎日飲み続ける負担から解放される
- 頻尿や尿意切迫感、切迫性尿失禁の改善が期待できる
デメリット
多数のメリットがある一方で、知っておいていただきたいデメリットもあります。
- 効果は一定期間で切れる(症状の改善を維持するには反復治療が必要※)
- 稀に排尿しにくくなる症状が現れることがある
- すべての方に同じ程度の効果が現れるとは限らない
※効果の現れ方や持続期間については、「効果・持続時間」ページで詳しくご案内しています
治療を検討するタイミング
膀胱ボトックスは、以下のような状況の方にご検討いただきたい治療です。
- 薬を続けても十分な効果が得られない
- 薬の副作用が気になり、内服を続けるのが負担に感じる
- パッドを毎日複数枚使用していて、生活への影響が大きい
- 症状を「歳のせい」と感じて受診を控えていた
薬以外の選択肢があることを知っていただくことは、今後の治療方針を決める上で役立ちます。当院では丁寧な診察の上で治療の適応を判断して、適切なタイミングでの実施をご案内します。気になる症状がある方は、お気軽にご相談ください。